秋田書店「週刊少年チャンピオン」にて連載中の、盆ノ木至先生による漫画『吸血鬼すぐ死ぬ』。
タイトル通りにすぐ死ぬ(すぐ復活する)吸血鬼ドラルクと、苦労人気質な吸血鬼退治人(バンパイアハンター)ロナルド、そして彼らを取り巻く人々のドタバタな日常を描いた“ハイテンション吸血鬼ギャグ”作品です。
2023年1月~3月にかけて放送されたTVアニメ第2期『吸血鬼すぐ死ぬ2』のイベント「スペシャ”ヌ”イベント~フロム シンヨコ トゥ シンジュク~」が2023年6月11日(日)に開催されました。
本イベントには、ドラルク役・福山 潤さん、ロナルド役・古川 慎さん、ジョン役・田村睦心さん、ヒナイチ役・日岡なつみさん、Y談おじさん役・井上和彦さん、ゴウセツ役・稲田 徹さんが登壇。アニメの振り返りや、名シーンの生アフレコ、ハプニングだらけのゲームコーナーなどで、本編同様、ファンを存分に沸かせました。
本稿では、昼公演の模様をお届けします!
原作者・盆ノ木至先生のお気に入りのシーンとは?
イベントはドラルクのナレーションからスタート。会場に集まった、そして配信を見ている大勢のファンに向けて、興奮気味に今回のイベントの気合の入りようを説明していきます。ジョンの「ヌ」を拝借し名付けられた、イベントタイトルのこだわりなどを矢継ぎ早に説明していると……「前説が長え! 死ね!」とロナルドの怒声が。「スナァ~!」とドラルクの断末魔が響き渡り、ファンの笑いを誘って、華々しく(?)イベントの幕が上がるのでした。
続けて、OPテーマ「NEW DRAMA PARADISE」に合わせて、手拍子をしながら楽しげな雰囲気で声優陣がステージに登場。
イベントのMCを務める稲田さんから挨拶していく中で、(マスク着用のうえで)ファンが声を出していいことが伝えられます。すかさず、井上さんが「いい声、待ってるよ」とファンをあおると、客席から大きなレスポンスが。
早くも会場が温まったところで、最初のコーナー「スタッフが選ぶ、お気に入りシーンベスト3」へ移ります。
こちらは、スタッフが第1期、第2期のお気に入りのシーンを紹介するというもの。昼公演の選者は原作者・盆ノ木至先生です。
1つ目のシーンは、第1期 第1話「退治人(ハンター)来たりて空を跳ぶ」より、ドラルクがロナルドに詰め寄るシーン。第1話は収録時点で映像がほぼフルカラーだったそうで、作品の雰囲気やテンポを理解するうえで大きな助けになったと福山さんが振り返ります。
田村さんはロナルドの「おじさんのアナログスティックでプレイしようね」のアクセントが好きだとコメント。狙ったわけではなく、偶然そうなったという古川さんの返答に、会場からも驚きの声が上がりました。
続いては、第1期 第8話「キッドナップ・エレジー」より、辻斬りナギリの優しさが垣間見えるシーン。そこから「ナギリ役:関 俊彦さん」のような、本作のインパクト抜群なキャスティングの話題に。
井上さんがY談おじさん役だと知ったときは、声優陣も大きな衝撃を受けたようで、福山さんは「次週の台本をもらったとき、スタジオが揺れましたから」と形容し、笑いを誘いました。
最後は、第2期 第9話「夢の国BBOLAND」より、武々夫の雑な理想の世界のシーン。盆ノ木先生は「アシスタントが入ってない背景が再現されている」と原作再現度の高さに触れつつ、アニメのサイケデリックな表現を絶賛。福山さんは、武々夫の父親である「ヴァミマ」の店長のヤバさにも言及し、まだまだ謎の多い武々夫たちについて妄想トークを繰り広げました。
さらに、番外編として、プロデューサーチョイスのシーンも。第1期 第10話のラストに流れた、第11話「シンヨコ・バトル・ロYヤル」のかっこいいウソ予告が選ばれました。第11話の内容を知った状態で、改めて映像を見ている客席からも思わず笑い声が。その後も、各シーンについての感想トークを繰り広げ、最初のコーナーを締めくくりました。
あの“伝説のクソゲー”が復活!?
次のコーナーへ移るべく、「続いてのコーナーはこちらです!」と稲田さんが前振り。しかし、何も起こりません。少し困惑した稲田さんがもう一度前振りをしようとした瞬間、突如大音量の“あの”タイトルコールが会場にこだまします。
一拍遅れ、状況を理解したファンが笑い声とともに拍手を送ります。そう、次のコーナーは、第2期 第2話に登場し、期間限定で実際にアニメ公式サイトから遊ぶことができた“伝説のクソゲー”『クエストオブソウルゲート』を、声優陣がプレイし、制限時間内にクリアを目指すというもの。全員がクリアできなかった場合は、主人公をより長く生存させ、遠くまで進めた人が勝者となります。
最初の挑戦者は古川さん。気合十分で挑みますが……開始4秒であえなくゲームオーバー。「おい! クソゲーだぞこれ!」と鋭いツッコミが飛び出します。
続いては、高難易度のゲームも多い、ファミコン世代の稲田さんが挑戦。しかし、操作が分からず2秒で撃沈。しかも後ろに進んでしまい、記録が-(マイナス)になってしまいました。
ゲームが好きな日岡さんは、ふたりが突破できなかった最初の敵を見事突破。しかし、本作特有の“高く飛び過ぎると主人公が天井に激突してしまう”という仕様によって、健闘むなしくゲームオーバー。それでも、13秒の好成績を残しました。
続く、田村さん、井上さんも果敢に挑戦しますが、クソゲーの壁は高く、あえなく敗北。最後の福山さんに思いを託します。みんなの思いを受け取った福山さんは、最初の敵をかわし、続くトゲも回避しますが……本編でドラルクも苦しめられた“見えない穴”に敗れゲームオーバー。それでも時間、距離ともに見事1位を獲得し、笑顔を見せました。
一通りプレイを終え、声優陣がファンの中にクリアした人がいるか尋ねると、ちらほらと手が挙がります。クソゲーの壁を越えた“猛者”たちに大きな拍手が送られ、次のコーナーへ移るのでした。
吸血鬼「犬しか勝たん」爆誕!
続いては「ロナ戦ネタ探し!トーク」。本編に登場させても引けを取らないような、オリジナルハンターや吸血鬼を考案したり、お題に答えていくコーナーです。
まずは「新たな吸血鬼と、その特殊能力」というお題。井上さんが考案したのは「山盛りのご飯を一秒で食べる」という特殊能力。能力の内容もさることながら、説明イラストもかわいらしく、ファンを和ませました。
日岡さんの考えた吸血鬼は、その名も「犬しか勝たん」。「犬が大好きな吸血鬼で、犬のコスプレをしている」「犬に悪さをする人を、自身の手の肉球から放つ肛門腺の匂いで倒す」など、強烈な設定が満載で、ファンの笑いを誘いました。
福山さんは吸血鬼「合コン大好き」を考案。「飲み会の会計時にトイレに行く」という、絶妙なリアリティがある特殊能力に、周りも「本編にいそう」と同意していました。
続いてのお題は「なってみたい吸血鬼」。田村さんは、本編で見せる自己肯定感の高さから「熱烈キッス」、日岡さんは、最強の存在への憧れから「月光院希美」、などなど各々がなってみたい吸血鬼を理由とともに明かしていきました。
最後は、「ハンターになったら、どんな衣装を着て活動したい?」。田村さんが「ヴァモネさんみたいな、着ぐるみはいいですよね!」と回答すると、それにつなげる形で日岡さんがイラストで回答。
しかしその内容が、某夢の国の着ぐるみをオマージュしたようなものだったため、稲田さんがすかさず「カメラさん、ちょっと引きで撮ってください」と進言。井上さんが「(このキャラクターのモチーフは)クマでしょ?」とすかさずフォローするなど、見事なチームワーク(?)を発揮する姿に客席から、笑い声と拍手が起こりました。
眼前で繰り広げられるギャグシーンにファンも大笑い
場面転換を挟み、生アフレコのコーナーへ。約20分、厳選されたショートシーンを、声優陣が立て続けに演じていきます。第1期 第12話「バカ五番勝負」、第1期 第10話「祭り囃子が君を呼ぶ」など、タイトルが出るたびに、ファンから歓声と笑い声が起こる中、声優陣が一つ一つのシーンを丁寧に、全力でふざけながら、魂を吹き込んでいきます。
ファンも、生の掛け合いだからこそ生まれるライブ感、臨場感を伴って繰り出されるギャグに大笑いしながら、存分に楽しんでいる様子でした。
ラストを飾るのは、第1期 第7話「Y談ダダンダンダンダダーン」。ヒナイチの“あの台詞”なども飛び出し、最後は井上さんによる、渾身のY談おじさんの絶叫で終了。客席から、この日一番とも思える大きな拍手が声優陣に向けて送られました。
生アフレコを終え、「矢継ぎ早にこういうシーンをいっぱいやると、ドラルクってまともだなと感じた」と福山さん。一方で「ロナルドのおかげで、これが締まっているのもよく分かった」とロナルドの苦労をねぎらいます。全力でツッコみ続けた古川さんは、「久しぶりにやるとちょっと頭が痛いですね」と冗談交じりにコメントし、ファンの笑いを誘ってコーナーを締めくくりました。
渾身の“ヴァモネさんダンス”を披露!?
最後のコーナーは、本編で、ドラルク一族がやったようなすごろくに、声優陣が挑戦する「ドラルク一族恒例?!巨大すごろく」。マスごとにさまざまなイベントが用意されています。
一通りルール説明が行われ、井上さんからスタート。気になる最初のマスは……「熱烈キッスに襲われた。男性キャストは悲鳴を上げる。女性キャストはそのまま」。先ほどの生アフレコのときとはまた違う、迫真の悲鳴を披露し、笑いを誘いました。
「武々夫の夢の世界へ」のマスで、「ぶぶおさんはかっこいいな」を3回言わされたり、「御真祖様からチュパカブラをプレゼントされる」のマスで、ゲーム終了まで語尾に「チュパァ」を付けることになったりと、さまざまなできごとが声優陣を襲います。
中でも、強烈なインパクトを残したのが「ヴァモネさん登場」のマス。こちらは、第1期 第10話に登場した吸血鬼退治人・ヴァモネさんの広報用ダンスを、音楽に合わせて一緒に踊るというもの。6人中4人が踏んでしまい、各々が渾身のダンスを披露して、会場を爆笑の渦に巻き込みました。「1マス戻る」のマスによって、再び踏んでしまい、2度目のダンスを披露する人も現れたりと、“恐怖のマス”としてゲームを大いに盛り上げるのでした。
白熱したゲームは、3巡目まで行われてタイムアップ。最もコマを進めた稲田さんが昼公演の優勝者となりました。
告知情報を挟み、エンディングへ。最後の挨拶では、ファンの声が聞けた喜びや、作品を応援してくれることへの感謝を一人ひとり、真剣に述べていきました。最後は、福山さんが「吸血鬼すぐ死~?」とファンに呼びかけ、「ぬー!」とファンが大きな声で返して、にぎやかなイベントを締めくくりました。
[取材・文/篭法 撮影/鳥谷部宏平 杉村美奈]