2009/07/21(火):「ヤブノナカ」本編シナリオ【第2話】
第2話「真砂の物語」は、
真砂が自分の出生の秘密を知ってしまう回想部分から物語が始まります。
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真砂「あの時、海に行ったのは、僕がわがままを言ったせいなんだよ」
武弘「真砂、分かってくれよ。卒論で俺も忙しいんだ。
お前の相手をしてやれないのは悪いと思ってるよ」
真砂「去年も、その前の年も兄さん忙しいって言ってどこにも行けなかったじゃないか。
来年になったらきっとまた別の理由で遊びに連れて行ってくれないんだ」
武弘「真砂」
真砂「…いいよ、もう」
武弘「わかった。海なんか、どうだ」
真砂「え?」
武弘「お前の言うとおりだ。最近、お前をほったらかしすぎたよ。
折角の休みだもんな。遊びに行こう。
海はどうだ? 山の方がいいか?」
真砂「本当!? 兄さん!」
武弘「ああ、本当だよ」
真砂「えーとねえ、じゃあ海! 海がいい!」
武弘「海だな、よし、分かった!」
◎海
真砂「季節終わりの海は人が少なかった。でも、僕はそれが逆に嬉しかった」
武弘「何だよ、その顔」
真砂「え?」
武弘「何か嬉しそうだな」
真砂「嬉しいよ」
武弘「変なやつ」
真砂「ふふっ」
武弘「寒くないか?」
真砂「ちょっとだけ。でも、大丈夫だよ。こうしてくっついていれば寒くないし」
武弘「本当か?」
真砂「うん」
武弘「ちょっと待ってろ。何か暖かいもの、買ってきてやるよ。何がいい?」
真砂「え、いいよ」
武弘「いいから」
真砂「…じゃあ、コーヒー」
武弘「コーヒー?(笑)」
真砂「何で笑うの?」
武弘「コーヒー、か。お前も大人になったと思ってな」
真砂「茶化さないでよ」
武弘「悪い悪い。じゃあ、買ってくるから、荷物、見ててくれよ」
真砂「うん」
真砂「兄さんはコーヒーを買いに行った。
海の家はもう閉まっていたから、別の場所を探しに行って、少しすると姿が見えなくなった」
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第2話は真砂から見た世界です。
最初、真砂の世界は大好きな兄と2人きりの世界でした。
そこに突然現れた城太郎という青年。
彼の出現により、真砂の世界が変わっていく様を描く第2話。
変わる世界の中で、真砂は何を思うのか?
真砂は何故武弘を殺してしまったのか?
この物語の結末は…。
次回は第3話「武弘の物語」のシナリオ公開です☆
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