シナリオ公開➂

○お風呂

 

箒星   「鴉ちゃんの髪って、本当にきれいですねぇー」

鴉羽   「そ、そう……かしら」

箒星   「ええ、とっても。濡鴉色(ぬればいろ)っていうんでしょうか、しっとりした黒色で……」

箒星   「それに、私は髪が短いので、長い髪には憧れますねぇー」

鴉羽   「そんなこと……お手入れだって大変だし、乾かすのも……」

箒星   「でも、鴉ちゃんによく似合ってますよぉ」

鴉羽   「そ……う、かしら?」

箒星   「ええ、羨ましいですねえ」

鴉羽   「あ……ありがとう。そんなふうに言われると……嬉しいわね」

箒星   「ふふふ……はい、おしまいです」

箒星   「ついでにお背中も流しちゃいますね」

鴉羽   「ちょ、ちょっと箒星」

箒星   「いいじゃないですか、はい、ごしごし」

鴉羽   「待って待って、ちょっと待って」

鴉羽   「くすぐったいってばっ……ふふっ……あははははははっ……!?」

鴉羽   「ちょっとやめてよね、くすぐらないで」

箒星   「そういうつもりはないのですが……くすぐったい?」

鴉羽   「えぇ……いまの、わざとじゃないの?」

箒星   「自分ではまったく意識したつもりは……」

箒星   「そうだ、げっちゃん?」

月下   「……な、なんでありますか?」

箒星   「お背中流してもいいですかぁ?」

月下   「別に……ご自由にどうぞ、であります」

箒星   「ではっ、こうやって泡立てて……ぴと」

月下   「………っ!」

箒星   「げっちゃんは背中も小さいですねぇ……」

月下   「ぷっ……くっ……」

箒星   「あら?」

月下   「くっ……くくくっ……くくくくっ……」

月下   「やっ……やめるでありますっ!?」

月下   「はーっ……はーっ……はーっ……」

月下   「ど、どうしてくすぐるのでありますかっ!?」

箒星   「そ、そんなつもりはないんですが~……」

月下   「こう……なんともいえない柔らかな触り方が、むずむずするのであります」

鴉羽   「そうよね、意識してやっているとしか思えないわ」

箒星   「おかしいですねぇ……もう一人ぐらい試して見ましょうか……」

レーツェル「(オフ)お姉さま、お痒いところはございませんか?」

灰桜   「(オフ)ふぁ~、とってもいい気持ちですねぇ」

箒星   「……そうだ」

灰桜   「ふぇ?」

箒星   「灰ちゃん、お背中を流していいですかぁ?」

レーツェル「ちょっ……わたくしとお姉さまの蜜月を邪魔しないでいただけます?」

箒星   「まあまあ、ちょっとだけですから」

灰桜   「はぁい、ではよろしくお願いします」

箒星   「では、こうしてしっかり泡立てて……ぴと」

灰桜   「……みゅっ」

箒星   「あわあわ……あわあわ……」

灰桜   「みゅ~……」

灰桜   「とってもいい気持ちです~……」

鴉羽   「えっ……そ、そうなの?」

灰桜   「はい、とっても丁寧に背中を流してくれて嬉しいですねぇ」

月下   「おかしいであります」

箒星   「いえ、おかしくはないのですが……」

レーツェル「もう……いったいなんですの?」

箒星   「あはは……いえ、皆さんのお背中を流していたんですよ」

レーツェル「そういうことなら、わたくしが箒星さんの背中を流して差し上げますわ」

箒星   「あら、お願いしていいんですか?」

レーツェル「特別ですのよ」

灰桜   「こうやって、みんなで一列になれば背中を洗いあえるんじゃないんでしょうか?」

レーツェル「なるほど、さすがですわ」

月下   「では、自分がレーツェルの後ろに」

鴉羽   「じゃあ、月下の背中はあたしが洗おうかしら」

月下   「お願いするであります、さっきは洗うどころではありませんでしたので」

箒星   「そんなつもりではなかったんですけどねぇ~」

灰桜   「そうだ、わたしが鴉羽さんの背中を洗えば……黒猫亭の輪が完成しますっ」

鴉羽   「そうだけど……どうやっても手が届かないでしょ」

灰桜   「みゅみゅ~」

箒星   「ふふふっ……」

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