マモン
「案外普通のマンションだな」

メタトロン
「こちら、人間世界に出張する時用の部屋で、総務部の数名でシェアしているんです。私はあんまり使っていないので…留守がちだからか、余計に懐かれなくて」

マモン 「どこも似たようなことやってるんだな」

ベルゼブブ 「え、皆人間界に泊まったりしてるの? オレいちいち自宅まで帰ってたよ」

メタトロン 「それは大変ですね」

べルフェゴール 「……」

マモン 「べルフェゴール、機嫌直せよ」

ベルフェゴール 「だって! なんでボクがこんなとこ来なくちゃいけない…」

マモン 「こいつを堕天させたいんだろ? 家まで行けばいろいろ見つかるって」

マモン 「いや、ある意味今のこいつは堕落しまくってるんじゃないか?」

ベルフェゴール 「むー…わかった。その代わりあいつの魂はボクのだからね!」

マモン 「はいはい」



メタトロン 「こちらです。こんなことになるとは思わなかったので、少々散らかっていますが…」

マモン 「あー、いい、いい」

ベルゼブブ 「お邪魔しまーす」



ベルフェゴール 「…な、何今の」

マモン 「…すごい気配がするんだが…」

メタトロン 「これです、ケルブです」



ベルフェゴール 「…それ、何…?」

メタトロン 「ミカエルさんからお預かりしたケルビムです。エデンの園に人間や悪魔が立ち入らないよう回転する炎の剣をもって天罰を下します。4つある顔はそれぞれ人間と牛とライオンと鷲に似ていまして、4つの翼と車輪がついています。知性は高いですよ」

マモン 「ペットじゃないだろ!」

メタトロン 「ペットですよー。こら、ケルブ! 知らない人に吠えちゃダメです!」

ベルフェゴール 「だからこんなとこ来たくなかったのに! どうするんだよ!」

メタトロン 「ケルビム! だめです! ノー! ハウス!」

マモン 「めっちゃ攻撃してきた!? 俺たちが悪魔だって絶対バレてるだろ!」

ベルフェゴール 「主人より敏感じゃないか!」

ベルゼブブ 「わー。すごーい。噂には聞いてたけど、やっぱりエデンの警備って気合い入ってるんだねー」

ベルフェゴール 「感心してる場合!?」

ベルゼブブ 「そうだねー。流石にこれはヤバいかぁ。んー。他の天使たちがここに来ちゃうのはちょっと面倒だよね。仕方ない。こっちもテリーを呼ぶか。むっ…」



ベルフェゴール 「策があるのか。それならだいじょうぶ…」

マモン 「いや、待てベルゼブブ! テリーはまずい!」

ベルフェゴール 「はっ!」



テリー 「グルルルル…」

ベルフェゴール 「げっ!」

マモン 「あー…」

メタトロン 「ベ、ベルゼブブさん!? 何ですか、その化け物は!」

ベルゼブブ 「テリー! いけ!」



ベルフェゴール 「ど、どうなってるんだ…」

マモン 「あれこそはヨハネの黙示録に記された666の獣、テリオン…7人の天使がラッパを吹き鳴らした後に地の底より現れて人間に獣の数字を刻む…7つの頭と10本の角、10の王冠を持ち、赤い竜ともサタンの化身とも呼ばれる…最終戦争ハルマゲドンのために用意された究極の悪魔兵器…!」

ベルフェゴール 「ヨハネの黙示録って、世紀末こないだ終わって千年紀が始まったばっかりだよ!? こんな半端な時期に、ハルマゲドンなんか起こしてどうするんだよ!?」