ナレーション
「悪魔――。それは神に見放された者たち。彼らは彼らの世界を満たすために地の底より現れ、驕りたかぶった人の子の魂をとらえ、引きずり込もうと日々画策している――……はずだった」

マモンの携帯電話にメール着信

マモン
「ベルベル遅れるって」

ベルゼブブ 「ねえ、マモン」

マモン 「ん? なんだ、ベルゼブブ」

ベルゼブブ 「ベルベルって名前、ややこしいよね。その人来たら別の名前教えてもらおうかなあ」

マモン 「ハンドルネームのまま呼べばいいだろ、オフ会なんだし」

ベルゼブブ 「そっかぁ。あ、時間あるならオレ、何か買ってきていい?
お腹空いたー」

マモン 「行ってこい。ここはオレが見てるから」

ベルゼブブ 「はーい」



メタトロン 「申し訳ありません! 5分遅刻ですね」

マモン 「いいっていいって。あんたがベルベル? にしては着くのが早すぎるか」

メタトロン  「リアルでは初めましてですね。ハンドルネーム“メタ太郎” です。
 ええっと…あなたが“マイスター”さん?」

マモン  「ああ。今日の幹事の”マイスター”だ。今、“ハエ男”はコンビニに行ってる。“ベルベル”は電車が止まったとかで遅れるらしい」

メタトロン 「えっ! “ベルベル”さんは電車でいらっしゃるんですか?
人間と一緒に?」

マモン 「こんでるからやめとけって言ったんだけどな。俺と”ハエ男” は面倒だから空飛んで来たんだが正解だった」

メタトロン 「私もです。あまり人間界には“降りない”のですが……。人間の交通機関がこんなにも難しいとは思っていませんでした。よく人間はあんなものを毎日使っていますよね。“乗り換え”など一体どうやっているんでしょうか」

マモン 「乗り換え案内アプリなかったら絶対無理だろ、あんなの。携帯電話が出るまでどうやって乗ってたんだろうな」

べルフェゴール  「はぁはぁ……一体何なんだよ、あの騒ぎは!」

べルフェゴール 「おいおい誰が来るのかと思ったら“ベルベル”ってベルフェゴールか?」

ミカエル 「マモン…? まさか“マイスター”ってあんた?」

マモン 「ああ」

メタトロン 「おや、お2人はリアルでもお知り合いですか?」

マモン 「会社でちょこちょこ顔合わせるくらいだな。それより電車、どうだった?」

ベルフェゴール 「最低だよ、最低っ! 自殺したやつの魂巡って死神と悪魔と天使が上空で大モメにモメててさ、たまたま通りかかっただけなのに、休みで管轄外のボクまで巻き込まれて……勘弁してほしいよね!」

メタトロン 「……電車の“中”に乗っていらしたんじゃないんですね」

ベルフェゴール 「ほんっと駅の上なんか飛ぶもんじゃない」