ガブリエル
「ちょっと、一週間も地上で何してるのよ、アンタ」

ミカエル
「なんだ、ガブリエルか。え、まさかこの勇者はガブリエル……?」

ガブリエル 「勇者? ……ああ、ゲームね。そんなわけないでしょ。『せっかく地上に行くなら、すれ違い通信してきてくれ』って、サンダルフォンに押し付けられたのよ」

ミカエル 「なんだそうか……。オシャレ番長のガブリエルがゲーム廃人だなんておかしいと思ったよ」

ガブリエル 「変なあだ名つけないで!」

ミカエル 「なるほど、確かにこれはサンダルフォンのデータだ。ユーザーネームがサンダルフォンだなんて、まんますぎる……。すれ違った人はどんな中二病の人かと思うだろうな」

ガブリエル 「人のこと言えるの? それよりアンタ、いい加減天界に戻ってらっしゃいよ。社長もそろそろご立腹よ」

ミカエル 「え? ちゃんと有給の申請はしているよ」

ガブリエル 「メタトロンに確認したけど、移動日含めて三日間になってたわよ」

ミカエル 「そんなはずは……。ちゃんとサンダルフォンに追加申請するように言って……(気づく)あいつまさか、ゲームにうつつを抜かして申請するのを忘れたんじゃないだろうな……」

ガブリエル 「ゲームに関してはアンタに言われたくないと思ってるわよ、きっと。……ああ、そういえば、メタトロンに書類突き返されているのを見たわね。何かが足りないとか抜けてるとかまた怒られてたっけ……。いつものことだからあんまり気にしてなかったけど、あれ、アンタに頼まれた書類だったのかしら?」

ミカエル  「(吐き捨てるように)あいつ……本当に使えないヤツだな……」

ガブリエル  「人のせいにしないの。あの子に頼んだアンタが悪いんでしょ。それにしても、なんで一週間も人間界にいるのよ?」

ミカエル 「この間、地上に降りてみて思ったんだ。やっぱり現場の空気って大事なんだって。僕も最近デスクワークが多かったから、もう少し現場を見ておこうと思ってね。それに、兄さんのことも心配だし。あまり仕事がうまくいってないみたいだろう?」

ガブリエル 「超怪しいんですけど……」

ミカエル 「嘘じゃないって。決して、ゲームの発売一週間以内が、一番すれ違い通信が盛んだからじゃないんだよ。本当に兄さんのことが心配で、毎日高いところから見守っているんだ。ほら、今もそこに……」

ガブリエル 「やっぱりゲームじゃない! って、ルシフェル? どこよ?」

ミカエル  「あそこ。コンビニの大人向け雑誌のコーナーに、なかなか近づけなくて挙動不審になってる……」

二人で下をのぞきこむ。

ガブリエル 「何やってんのよあの子! (呆れて)てゆーか、アンタもよくあんなところにいるルシフェルを見つけられるわねえ」

ミカエル 「長年、生あたたかい目で見守っていたら、すぐに見つけられるようになっちゃって……」

ガブリエル 「どんな目で見てんのよ、アンタ……。大体、なんであの子、大人向けコーナーなんかに近づこうとしてるの? 腰引けまくりじゃない」