●総合商社Heavenly Living Space(ヘブンリー・リビング・スペース)・オフィス内 辞令を片手に震えるルシフェル。 | |
ルシフェル |
「総合商社Heavenly Living Space(ヘブンリー・リビング・スペース)営業第一課・天使ルシフェル殿。出向辞令……本日付をもって、貴殿に総合商社Living Hell(リビング・ヘル)への出向を命ずる。なお、詳細の業務内容、勤務地、期間、勤務条件については、別途総務部より説明を受けること。Heavenly Living Space(ヘブンリー・リビング・スペース)代表取締役社長・神。以上」
|
SE:ガーン!
| |
ルシフェル |
「……な、なんだって……。LH(エルエイチ)へ出向……? どういうことだ……?」
|
よろけて、壁に当たるルシフェル。今にもくずおれそうな風情。
| |
ルシフェル |
「LHって言えば、社員が全員悪魔で、主な業務内容は人間を堕落させること……。うちと真逆、いわば商売敵じゃねえか! 営業トップの俺が、何でそんなところに……!」
|
近づいて、ポンとルシフェルの肩を叩くミカエル。
| |
ミカエル |
「やあ、ルシフェル兄さん」 |
ルシフェル |
「ミカエル……!」 |
ミカエル |
「どうしたの? 顔色が悪いよ。まるでLHへの出向でも決まったみたいな顔じゃないか」 |
ルシフェル |
「そうなんだ、まさにその通り……って、なんでお前もう知ってるんだ? 何か聞いてたのか!?」 |
ミカエル |
「誤解だよ、兄さん。確かにに僕は社長の右腕って言われるほど有能だけど、人事にはノータッチだよ」 |
ルシフェル |
「なんでだ……? あからさまな懲罰人事じゃねえか……。俺が一体何をしたって言うんだ……」 |
ミカエル |
「懲罰って……ただの人事交流だよ。うちではよくあることじゃないか。考えすぎだよ、兄さん」 |
ルシフェル | 「嘘だ! LHに出向になることを、堕天って言うんだろ!? じゃあ何か? 俺は今日から堕天使なのか!?」 |
ミカエル |
「いいじゃない、堕天使。邪気眼が発動して、究極最終奥義が使えるようになる……かもよ?」 |
ルシフェル |
「かもってなんだよ、かもって! 要するに堕天ってのは、左遷を遠回しに言っただけだよな? 結局俺は、左遷されるんだよな?」 |
ミカエル |
「(思いついたように)ああ! 兄さんは左遷使になるんだね」 |
ルシフェル |
「新しい単語作んな!」 |
ミカエル |
「そんなに怒らないでよ、兄さん。まあ少し落ち着いて……おや?」 |
廊下の向こうから、ガブリエルが歩いてくる。
| |
ミカエル |
「やあ、ガブリエル」 |
ガブリエル |
「ハァイ、似てない双子。相変わらず楽しそうね」 |
ルシフェル |
「どこをどう見たらそう思うんだ……お前、何千年俺たちの幼馴染やってんだよ!」 |
ガブリエル | 「(ミカエルに向かってこそこそと)あらやだ、どうしちゃったの、この子。ご機嫌斜めね」 |