ドラマCD『ペンデュラム』では聞くことのできなかった
ダートとジュダのやり取りに注目!

収録お疲れさまでした! 早速ですが、本編ストーリーの紹介をお願い致します。

佐藤拓也さん(ダート役)

佐藤拓也さん(ダート役)

ダート役・佐藤拓也さん(以下、佐藤):『ペンデュラム』のドラマCDでは、ダートとジュダの過去がちょっとだけ垣間見れただけでしたが、今回は、教会での生活や大切な人たちとの暮らしを掘り下げることができました。ダートが今なぜこのような状態なのか裏付けをすることができたので、お芝居がすごく楽しかったです。

後は、ジュダがすごく強引でケンカっぱやくてすぐ怒るんですけど、ふたりのときだけ不器用な優しさを見せてくるのがズルいなと思います(笑)

一同:(笑)

ジュダ役・川原慶久さん(以下、川原):『ペンデュラム』のドラマCDでは、ルアードとカイたちの話の中で軽く出てくるところからスタートしましたが、今回はダートの過去を掘り下げています。彼の持っている反骨精神や生きるための力が感じられて、彼の人間性が浮彫りにされています。なので、ダートを中心に物事が進んでいく、生命力がほとばしるストーリーになっています。

去年の7月に発売されたコミックス第1巻のアニメイト有償特典として付属されたドラマCDでは、第1話から第3話のダイジェストが収録されていました。前回と比べて今回の収録はいかがでしたか?

川原:ダイジェストでも今回の収録でも、ダートは懐かない猛獣のような、猫のような……

佐藤:自分(ジュダ)の話をしてください!(笑)

一同:(笑)

川原:ダートが魅力的なんですよ(笑) いろいろなシーンを映画のように自分の頭の中で映像化したとき、パッと思い浮かぶのがダートの生き生きした姿だったりするので。自分のことを話さなくなってしまうんです。

佐藤:時間はたくさんありますよ(笑)

川原:今回のドラマCDでは、ダートとジュダがまだ打ち解けていない状態で、たくさんのわだかまりが出てきます。アルファ・ベータ・オメガという階級社会、支配層の中で生きてきたジュダは、上流社会の仕組みに対する反骨心や納得できないところもあると思うんです。そんな変えられない世界で生きてきた彼からすると、ダートに対して“うらやましい”と思う部分がどこかにあるのではないでしょうか。全体的なストーリーを掘り下げてみると、彼にとってはダートがまぶしい存在になっていると感じます。

佐藤:ダートの素敵なところは、いいアルファと番になって、誰かの力を頼りながら幸せになろうと思わないところですよね。反骨精神や独り立ちせざるを得ない辛さ、背負うものがあってもブレないところが、ダートの1番の魅力だと思います。川原さんがほとんど言ってくださったので、僕が言うところはほぼありませんが(笑)

一同:(笑)

佐藤:ジュダは最初、ダートを遠ざけたり、運命の番であることを受け入れてくれませんでした。ふたりの出会い方があまりよろしくなく、マイナスから始まったので、関係を深めるには“加点”していくしかないんです。ふたりはよくケンカもしますけど、衝突し合うことで新しい部分を見つけて相手を深く知るという関係づくりが、彼らに合っていたのかなと思います。

本編のドラマCDとあわせてコミックスに付属されるドラマCDも収録していただきましたが…

佐藤:(コミックスに付属されるドラマCDにて)ジュダがお酒を飲んでダートと仲良くしようとするのはちょっと……(笑)

川原:あははは(笑)

佐藤:お酒の力を借りちゃいけないよ、と言いたいです(笑)

川原:あれはよくなかった(笑)

佐藤:何ちょっと優しくなるんだよって思います(笑)

一同:(笑)

佐藤:そんなところも可愛らしい一面ではありますけどね。

川原:逆に、上機嫌な姿が若干微笑ましかったですけど。

佐藤:ジュダの気楽な姿はめずらしいですよね!

川原:うんうん。いっそ、(ダートに)甘えてあげようという勢いで。

佐藤:何を言っているんでしょう(笑)

上機嫌なジュダの姿は貴重ですね! コミックスに付属されるドラマCDは、本編とはまた違う楽しみ方ができるのではないでしょうか。

佐藤:本当にそう思います! 『ペンデュラム』から演じさせていただいているので、お話をつむいでいく中でキャラクターへの愛着が深まるのは、すごくありがたいことです。

今回、収録された中でお気に入りのシーンや印象に残ったセリフなどがありましたら教えてください。

川原慶久さん(ジュダ役)

川原慶久さん(ジュダ役)

佐藤:そうですね……(すごく悩んでいる佐藤さん)……本編だと、本当にウィルの立ち位置が謎すぎて(笑)

一同:(笑)

佐藤:ダートはジュダと「運命の番」になっているので、何も咎められることはないんですけど、何とも言えない罰の悪さがあります(笑)

川原:本妻だと思っていたのに、急に「ジュダのパートナーだ」って出てきたら、“ちょっと待て”ってなるもんね(笑)

佐藤:そのシーンの収録中、本当に「は?」ってなりました(笑) そこは演じていて面白かったです。


川原:どこも聴きどころでいいシーンばかりなので選びきれません。あまり反骨精神の話をし過ぎるのもよくないし……

佐藤:どれだけ好きなんですか(笑)

川原:(笑) ダートの中には、妹を必死に探したり、辿り着きたい家庭・生活があって。求めている平和がストーリーの随所に散りばめられているんじゃないかと思います。最終的には手に入れるかもしれないけど、まだ今の段階では取りこぼしているところがあるんです。そういう葛藤を、佐藤さんが感情を込めて演じてくださっているので、その部分を皆さんも一緒に感じていただけるのではないかと思います。

佐藤:(川原さんを見ながら)ここまで身勝手な大人もいないと思うんですけど……あ、ジュダさんですよ?(笑)

川原:(笑)

佐藤:ダートだけではなく、ジュダのほうも全部言えない辛さがあると思います。逆に、すべて言葉にしてしまったら壊れてしまうものもありますし。必要最低限なことしか言わない人だけど、それがすべて行動に現れる人なんだろうなと。ダートと「運命の番」になり、これから“父”になっていくジュダがどう変化するのか、そこは聴きどころの1つでもあります。

ストーリーが進むにつれて、ダートとジュダの気持ちがどのように動いていくのか注目ですね! そんなふたりを演じられる佐藤さんと川原さんですが、収録中のエピソードがあれば教えてください。

佐藤:ジュダは大柄で力が強い人なのに、ダートと仲良くしているシーンはすごく紳士的で優しいんです。川原さんは、息のお芝居もポイントごとに差しこんできてくださるので、「なんて優しい人なんだろう」と思いながら演じさせていただきました。

川原:もう言うことは何もありません(笑)

佐藤:嘘でしょ!?

一同:(笑)

川原:佐藤さんは感情の流れがすごく繊細なので、“間”が素敵だなと思います。ちょっとした息づかいの間であったり、その部分に助けられたところが多々ありました。ぜひ皆さん、佐藤拓也さんのダートを……

佐藤:(照れながら)ジュダのことも話してください!

川原:ジュダのことは言ってくれたから(笑) ダートは、ときに可愛い部分がありつつも、運命に抗っているベースがあり、その揺らがない姿勢に刺激されます。そこから生まれる(収録中の)空気はすごくありがたかったです。

なんだか、ダートとジュダを演じる佐藤さんと川原さんとの間にも“特別な空気”があると思うと感慨深いです……。最後になりますが、ファンの方へメッセージをお願いします。

佐藤:『ペンデュラム』から始まり、『レムナント』でもダートを演じさせていただけて嬉しく楽しく思っております。また、“オメガバース”という世界観は可能性があるものです。獣人と人間の恋物語ではありますが、ダートが1番始めに願っていたであろう“家族”について、これから原作で描かれていくと思います。僕も一演者、一読者として楽しみですし、皆さんと一緒にこれからの本作に期待していきたいなと思いますので、ドラマCDのほうもよろしくお願い致します。

川原:もう、全部言われました(笑)

佐藤:嘘でしょ!?(笑)

一同:(笑)

川原:お互いの心が通い合うところまでの過程は、まだ自分たちの中で描き切れていないところがあります。そこへたどり着く過程を、皆さんと一緒に長い時間をかけながら、ジュダ、そしてダートと付き合っていけたらなと思っておりますので、これからも『レムナント』をよろしくお願い致します。また、皆さんと会えるのを楽しみにしております。

ありがとうございました!